情報セキュリティポリシーとは?必要性と策定の流れを解説!

2025.12.25

情報セキュリティポリシーとは、企業が情報資産を様々な脅威から守り、安全に活用するためのルールや行動指針をまとめたものです。

策定することで、組織全体のセキュリティレベルを統一し、情報漏洩などのリスクを低減する重要な役割を担います。

本記事では、情報セキュリティポリシーの基本的な意味や、構成する3要素(機密性・完全性・可用性)を解説します。

さらに、策定の必要性から具体的な作成手順までを網羅的に紹介するため、これから策定を検討している担当者の方はぜひ参考にしてください。

目次

情報セキュリティポリシーとは

情報セキュリティポリシーとは、企業や組織が情報資産を様々な脅威から守り、安全に活用するための基本的な考え方やルールをまとめたものです。

簡単に言うと「情報セキュリティに関する社内ルールブック」のようなものだと考えてください。

企業が持つ顧客情報や技術情報といった「情報資産」は、企業の存続に不可欠な重要な財産です。

この情報資産をサイバー攻撃や内部からの不正な持ち出し、災害などから守ることは、事業を継続し、顧客や社会からの信頼を得る上で非常に重要と言えるでしょう。

ポリシーを策定し、社内で共有・徹底することで、組織全体で統一されたセキュリティレベルを維持し、情報漏洩などのリスクを低減させることができます。

情報セキュリティポリシーを策定する目的と必要性

企業や組織が情報資産を守り、事業を安定して継続させるためには、情報セキュリティポリシーの策定が不可欠です。

ここでは、ポリシーが必要とされる3つの主要な理由を解説します。

  1. サイバー攻撃などのリスクから企業の情報を守る
  2. 情報漏洩を防ぐ
  3. トラブル発生時の迅速な対応を可能とする

①サイバー攻撃などのリスクから企業の情報を守る

情報セキュリティポリシーは、サイバー攻撃など、さまざまな脅威から情報を守り、事業を安定的に継続させるために不可欠です。

脅威には、大きく分けて「外部からの脅威」と「内部からの脅威」の2種類があります。

脅威の種類具体例
外部からの脅威・サイバー攻撃(ウイルス感染、不正アクセスなど)
・なりすましメール
内部からの脅威・従業員の操作ミスによる情報漏洩
・悪意のある情報の持ち出し
・関係者による不正行為

上記のような脅威は、企業の機密情報や個人情報の流出につながり、事業継続を困難にする可能性があるので注意が必要です。

情報セキュリティポリシーを策定し、組織全体で遵守することで、内外のリスクに対する防御策を強化できるので策定を検討してみましょう。

なお、情報セキュリティポリシーの策定は、情報資産を保護し、企業の信頼性を維持することにつながります。

②情報漏洩を防ぐ

セキュリティポリシーは、情報漏洩のリスクを低減させるためにも不可欠です。

企業の持つ情報の中には、顧客情報や新製品の開発情報など、外部に漏洩してはならない機密性の高いものが数多く含まれます。

これらの情報がひとたび外部に流出すれば、企業の社会的信用の失墜や、経済的な損失につながる可能性があるため情報漏洩の対策は欠かせません。

また、情報漏洩は外部からのサイバー攻撃だけでなく、社員の不注意や内部不正によっても引き起こされます。

以下で、情報漏洩の主な原因をまとめました。

原因具体例
外部要因・不正アクセス
・マルウェア感染
内部要因・ノートパソコンの紛失や置き忘れ
・メールの誤送信
・悪意を持った社員による情報の持ち出し

セキュリティポリシーを策定し、情報へのアクセス権限を適切に管理したり、データの取り扱いに関するルールを明確に定めたりすることで、こうした意図しない情報漏洩や悪用を防ぐことができます。

例えば、IDやパスワードによるアクセス制御や、重要データの暗号化といった対策をルール化し、全従業員に周知徹底することが重要です。

③トラブル発生時の迅速な対応を可能とする

情報セキュリティポリシーは、セキュリティインシデント(事故)が発生した際の行動指針としても機能します。

事前にルールを定めておくことで、誰が、何を、どのように対応すべきかが明確になり、混乱なく迅速に初動対応を開始できるのです。

インシデント発生時の対応フロー例

担当部署対応内容
発見者・従業員インシデントを発見次第、速やかに情報セキュリティ責任者へ報告する
情報セキュリティ責任者被害状況の確認、影響範囲の特定、関係各所への連絡を行う
システム管理者ネットワークの遮断、不正アクセスのログ解析、システムの復旧作業を実施する

このように、対応体制や手順をあらかじめ定めておくことで、被害の拡大を最小限に抑え、事業への影響を軽減できます。

万が一の事態に備え、全従業員がポリシーを理解し、日頃から訓練しておくことが重要です。

情報セキュリティポリシーの三段階構造の内容

情報セキュリティポリシーは、単に「情報セキュリティに関するルール」と一言で言っても、その内容は多岐にわたります。

経営層の意思決定から、現場で実際に手を動かす従業員の実務まで、組織全体が一貫したセキュリティ対策を進められるよう、3つの階層構造で構成されるのが一般的です。

次項より、各段階について詳しく解説していきます。

基本方針(ポリシー)

情報セキュリティポリシーの最も上位に位置するのが「基本方針(ポリシー)」です。

企業が情報セキュリティに対してどのような考え方で臨み、どのような姿勢で取り組んでいくのかという、経営層の強い意思を社内外に示す重要な文書です。

情報セキュリティの目的、重要性、そして情報セキュリティに対する責任者が誰であるかを明確に宣言する役割があります。

基本方針では、技術的な詳細には触れず、企業全体のセキュリティ文化の根幹となる理念を定めることが重要です。

社内外への公表を前提としているため、簡潔かつ力強いメッセージで構成することで、企業の信頼性や透明性を高める効果も期待できます。

対策基準(スタンダード)

「対策基準(スタンダード)」は、第1段階で定めた基本方針を実現するために、組織全体で遵守すべき具体的な「ルール」を定めた文書です。

対策基準では「何を」「どこまで」守るべきかを具体的に定義します。

情報資産の保護対象となる範囲、ポリシーを適用する従業員や協力会社、そして情報セキュリティを維持するために遵守すべき事項などを網羅的に規定しましょう。

例えば、以下のようなすべての従業員が共通して守るべき統一的なルールが対策基準に該当します。

  • パスワードは定期的に変更すること
  • 機密情報を含むPCは社外に持ち出してはならない
  • 許可されていないUSBメモリなどの外部記憶媒体は使用しない

ルールは、組織全体で情報セキュリティレベルを一定に保つための基盤となります。

実施手順(プロシージャ)

「実施手順(プロシージャ)」は、第2段階の対策基準で定められたルールを「どのように」実行するかを具体的に記した手順書です。

特に現場で情報システムを担当する方々にとって抽象的なルールだけでは、実際の業務でどのように行動すれば良いのか迷ってしまうことがあります。

しかし、実施手順があることで迷いを解消することが可能です。

例えば、次のような説明も、特定のOSやデバイスごとにスクリーンショットを交えながら、クリックすべきボタンや入力すべき内容を詳細に解説することでより分かりやすくなります。

  • Windows 11でのパスワード変更手順
  • Android端末紛失時のリモートロック操作方法

実施手順を作成することで、誰が作業しても同じ結果になり、セキュリティ対策を属人化させることなく運用することが可能です。

具体的で分かりやすい手順書を作成することは、ポリシーが形骸化せず、組織全体で有効に機能し続けるための鍵となります。

情報セキュリティの3つの要素

情報セキュリティを確保するためには「機密性」「完全性」「可用性」の3つの要素を満たすことが不可欠です。

これらはそれぞれの英単語の頭文字をとって「CIA」とも呼ばれ、情報セキュリティの土台となる考え方です。

「機密性」「完全性」「可用性」 の3つの要素は、どれか一つでも欠けてしまうと、情報セキュリティが保たれているとは言えません。

例えば、情報漏洩を防ぐ「機密性」と、情報が正確である「完全性」が確保されていても、必要な時にデータにアクセスできなければ(可用性が低い)、業務に支障をきたしてしまいます。

3つの要素の概要は以下の通りです。

要素概要具体例
機密性 (Confidentiality)認められた人だけが情報にアクセスできる状態を保つこと・ID/パスワードによるアクセス制御・データの暗号化
完全性 (Integrity)情報が不正に改ざん・破壊されることなく、正確で完全な状態を保つこと・変更履歴の記録・バックアップデータの保管
可用性 (Availability)認められた人が、必要な時にいつでも情報やシステムを利用できる状態を保つこと ・システムの二重化・システムの二重化・災害時の復旧計画(BCP)

このように、3つの要素をバランス良く維持・向上させることが、堅牢な情報セキュリティ体制の構築につながります。

機密性

「機密性(Confidentiality)」とは、許可された人だけが情報にアクセスできるように制限し、情報の漏洩や不正利用を防ぐことです。

企業には、新製品の開発情報や顧客情報、社員の個人情報など、外部に漏れてはならない重要な情報が数多く存在します。

重要情報へのアクセス権を役職や業務内容に応じて適切に設定し、管理することで機密性の確保につながるでしょう。

具体的な対策としては、以下のようなものが挙げられます。

  • アクセス制御:IDやパスワード、ICカード認証などで、システムやデータへのアクセスを制限する
  • データの暗号化:万が一データが漏洩しても、内容を読み取られないようにする
  • 物理的な対策:サーバールームへの入退室管理や、書類の施錠保管を行う

ただし、ルールを厳しくしすぎると業務効率が低下し、形骸化する恐れもあります。

そのため、利便性とのバランスを考慮しながら、実効性のある対策を講じることが重要です。

完全性

「完全性(Integrity)」とは、情報が不正に改ざんされたり、誤って破壊されたりすることなく、正確かつ最新の状態に保たれていることを指します。

サイバー攻撃の中には、情報を盗むだけでなく、企業の信用失墜を狙ってデータを改ざんするものもあります。

また、悪意がなくとも、従業員の操作ミスやシステムの不具合によってデータが破損する可能性も否定できません。

完全性を維持するための主な対策は、以下の通りです。

  • アクセス権の適切な設定:閲覧のみを許可し、書き込みや変更は特定の担当者のみに限定する
  • 変更履歴の保存:誰がいつどのような変更を加えたかを記録し、問題が早期解決できる体制を作る

完全性を確保するためには、技術的な対策だけでなく、日常的な運用ルールの徹底や従業員への教育も欠かせません。

些細なミスや油断が大きなリスクにつながることを常に意識し、継続的な見直しと改善を心がけることが重要です。

可用性

可用性(Availability)とは、必要なときにいつでも情報やシステムを利用できる状態を維持することです。

この可用性が損なわれると、業務の停止や生産性の低下に直結し、企業の信頼性や顧客満足度に大きな影響を与えます。

例えば、サーバーダウンやネットワーク障害が発生すると、従業員は業務に必要なデータにアクセスできなくなり、サービス提供も滞ってしまうでしょう。

そのため、可用性を確保することは非常に重要です。

可用性を確保するための具体的な対策には、以下のようなものがあります。

  • 冗長化:サーバーやネットワーク機器などのシステムに予備を準備し、障害発生時に自動で切り替わるようにしておくこと
  • 負荷分散:アクセスが集中しないよう、処理を複数のサーバーに分散させること。1台が停止しても他のサーバーでサービスを継続できる
  • 無停電電源装置(UPS):停電時にもシステムに電力を供給し、安全にシャットダウンする時間や、自家発電機が稼働するまでの時間を確保する装置

これらの対策を講じる際は、導入後の保守・点検を定期的に実施し、常に万全な状態を保つことが、可用性の維持には欠かせません。

情報セキュリティポリシー策定のポイント3つ

情報セキュリティーポリシーを策定する際には、以下の3つのポイントを抑えると効果的です。

それぞれ詳しく解説していきます。

①実施可能な内容を盛り込む

情報セキュリティポリシーを策定する際は、現場で実際に運用可能なルールを盛り込むことで、従業員が具体的に何をすべきかを理解でき、ポリシーの定着率を高めます。

情報セキュリティポリシーに含めるべき内容は以下の通りです。

  • パスワード管理
  • ファイル共有のルール
  • アクセス制限や自動ロックによる端末管理

なお、従業員が日常業務の中で実行できない規則は形骸化し、遵守されないリスクが高いためやめましょう。

従業員が無理なく実行できるルールを策定することで、情報セキュリティポリシーの遵守率が高まり、企業の情報資産をより安全に守ることが可能になります。

このように、策定したポリシーを従業員へ周知し、実践につなげることは、ISO/IEC 27001などの国際標準でも推奨されている重要なポイントです。

②情報資産を明確にする

情報セキュリティポリシーでは、守るべき情報資産を明確に分類することで、リスクに応じた対策を的確に講じられ、企業全体のセキュリティ水準を向上させることができます。

情報資産に該当する具体例は、以下の通りです。

  • 顧客情報や個人情報
  • 業務マニュアルや設計図
  • 電子メールやチャットのやり取り

どの情報が機密情報かを曖昧なまま運用すると、従業員が誤って情報を共有したり、適切な管理が行われなかったりするため、トラブルリスクが高くなってしまいます。

情報資産を明確にすることで、従業員が何を守るべきかを理解でき、情報漏洩や不正利用のリスクを最小化できます。

③罰則規定を明記する

違反時の罰則や対応を明確に記載することで、従業員のルール遵守の意識向上に繋がります。曖昧な記載や罰則なしのポリシーでは、違反行為が発生した際の対応が遅れ、被害が拡大するリスクがあります。

罰則規定は、以下のように定めておきましょう。

罰則の種類 対応内容
パスワードや社内データの誤送信 警告や教育研修
顧客情報の持ち出し、故意の情報漏洩 懲戒処分や解雇の対象

また、発覚時の報告ルート、調査方法、再発防止策を明記しておくことで、万が一トラブルが発生した際にスムーズに対応できるでしょう。

情報セキュリティポリシー策定の2つの注意点

情報セキュリティポリシーを策定する際には、運用面や実効性を考慮して注意すべきポイントが2つあります。

①策定後は従業員へ周知する

ポリシーを策定し周知することで、組織全体で情報セキュリティの遵守意識が向上し、トラブル発生時にも迅速に対応できる体制を構築できます。

具体的には、研修やマニュアル配布、定期的な確認テストを実施することで、ポリシーの浸透を図りましょう。

従業員がポリシーの内容を正しく理解していないと、情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まるため、全従業員に内容を周知し、理解・実践できる体制を整えることが重要です。

②自社に合わせて策定する

自社の業務内容や規模に合わせてカスタマイズしたルールであれば、従業員が実務で実行しやすく、情報漏洩防止やセキュリティ強化につなげることが可能です。

たとえば、製造業の設計データや金融業の顧客情報では、守るべき情報資産の種類やアクセス権限の設定方法が異なります。

自社に適したルールを明確化することで、現場での運用も現実的になり、ポリシーの定着率を高めることに繋がるでしょう。

情報セキュリティポリシーの策定の流れ

情報セキュリティポリシーは、以下の流れに沿って策定を進めることが一般的です。

  1. 責任者、担当者を選出
  2. 目的・対象範囲・運用期間を決める
  3. スケジュールを決める
  4. 基本方針を策定する
  5. 情報資産の洗い出し、リスク分析と対策を練る
  6. リスクの対策基準と実施内容を決める

①責任者、担当者を選出

情報セキュリティポリシーの策定にあたって、まずは運用に関する責任者と担当者を選出します。

経営層を含む全部署からメンバーを集めることで、全社的な取り組みとして進めることができるためおすすめです。

②目的・対象範囲・運用期間を決める

次に、ポリシーを策定する目的、対象となる情報資産や組織の範囲、そしていつからいつまで適用するのかを明確に定義します。

これらを明確にすることで、ポリシーの適用対象や有効期間が曖昧になることを防ぎ、関係者全員が共通の認識を持って取り組むことができるようになるでしょう。

また、適切なリスク管理や運用体制の整備が行いやすくなり、無用な混乱や責任の所在の不明確さを回避することにもつながります。

③スケジュールを決める

策定から導入、そして見直しまでの具体的なスケジュールを設定します。

現実的な計画を立てることが、スムーズな進行の鍵です。

➃基本方針を策定する

企業のセキュリティに対する基本的な考え方や姿勢を示す「基本方針」を策定します。

これは、経営層の承認を得た上で、社内外に公開する企業の宣言となります。

⑤情報資産の洗い出し、リスク分析と対策を練る

社内に存在する情報資産(顧客情報、技術情報、個人情報など)をすべて洗い出し、それぞれにどのようなリスク(漏洩、改ざん、紛失など)が存在するかを分析します。

分析することで、どの情報資産が重要で、どのような脅威にさらされているかを明確に把握できるようになるでしょう。

その結果、リスクの高い資産に対して優先的に対策を講じたり、限られたリソースを効率的に配分したりすることが可能となります。

⑥リスクの対策基準と実施内容を決める

分析したリスクに対して、どのような対策を講じるかの基準(対策基準)と、具体的な手順(実施手順)を定めます。

例えば「ウイルス対策ソフトを全PCに導入する」「重要なファイルは定期的にバックアップを取る」といった具体的なルールを決めます。

情報セキュリティポリシー策定後の運用に欠かせないポイント

情報セキュリティポリシーは、一度策定すれば終わりではありません。

ビジネス環境の変化、新たな脅威の出現、従業員の状況などに応じて、常に内容を見直し、改善していく「生きた文書」である必要があります。

策定したポリシーを形骸化させず、組織に定着させるために不可欠な運用ポイントは次の5つです。

上記のポイントを押さえることで、持続可能で実効性のあるセキュリティ体制を構築できます。

①内部規定を整備する

策定した情報セキュリティポリシーを、単なる理念や目標で終わらせないためには、企業の他の内部規定との整合性を図り、必要に応じて改訂することが重要です。

特に、就業規則や人事考課制度といった、従業員の行動規範や評価に直結する規定に、セキュリティポリシーの遵守義務を明記することで、ポリシーの実効性を大きく高められます。

例えば、情報漏洩や不正アクセスなどのポリシー違反があった場合の罰則規定を就業規則に盛り込むことで「情報セキュリティの遵守は全従業員の義務である」というメッセージを明確に伝えることが可能です。

従業員のセキュリティ意識を高め、責任感を持った行動を促すことにつながります。

②定期的な内部監査を実施する

定期的な内部監査を実施することで、セキュリティ対策の継続的な改善と強化を図り、ポリシーが常に実効性のある状態を維持できます。

監査は、ポリシーに定められたルールや手順が守られているかをチェックするだけでなく、運用上の課題や改善点を発見する貴重な機会です。

監査計画を立案し、チェックリストを用いて各部署やシステムを横断的に検証しましょう。

なお、監査で発見された問題点や指摘事項は、具体的な是正措置計画を立て、確実に実行することが重要です。

内部監査は、決して「犯人探し」ではなく、組織全体のセキュリティレベルを向上させるための前向きな活動として位置づけましょう。

③社員の情報セキュリティリテラシーの向上

一般的に、情報セキュリティの最大の脆弱性は「人」であると言われています。

どれほど強固なシステムを構築しても、従業員一人ひとりのセキュリティ意識や知識が不足していれば、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクは高まってしまうでしょう。

そのため、全従業員の情報セキュリティリテラシーを継続的に向上させるための教育・訓練は、ポリシー運用において極めて重要な要素です。

新入社員研修に情報セキュリティの基本を組み込むだけでなく、以下のような対策を行うと良いでしょう。

  • 全従業員を対象とした定期的なeラーニング
  • 最新の脅威情報を提供するセミナー
  • 標的型攻撃メール訓練

情報セキュリティポリシールールの必要性や、違反した場合のリスクを従業員自身が深く理解することで、自律的な遵守行動を促すことにつながります。

④管理体制の強化

情報セキュリティポリシーが「生きた文書」として機能し続けるためには、策定時だけでなく運用フェーズにおいても、強固な管理体制を継続的に機能させることが重要です。

情報セキュリティ委員会のような推進体制を設置している場合は、定期的な委員会の開催とともに以下のようなことを行いましょう。

  • 活動状況のレビュー
  • 新たな脅威やインシデント事例の共有
  • ポリシーの見直し検討

管理体制が形骸化してしまうと、ポリシーも次第に忘れ去られ、緊急時の対応が遅れたり、新たなリスクへの対応が後手に回ったりする可能性があります。

責任者や担当者の役割を明確にし、定期的な会議体を通じて情報共有と意思決定を行うことで、組織全体のセキュリティガバナンスを維持・強化できるでしょう。

⑤継続的に改善を行う

情報セキュリティの世界は常に変化しており、新たなテクノロジーの登場や、巧妙化するサイバー攻撃の手法に常に対応していく必要があります。

そのため、情報セキュリティポリシーも、一度策定したら終わりではなく、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を回しながら継続的に見直し、改善していくことが不可欠です。

内部監査の結果や、実際に発生したインシデント対応から得られた教訓、従業員からのフィードバックなどを基に、ポリシーの内容を定期的にアップデートしていきましょう。

例えば、新しいデバイスの導入やクラウドサービスの利用開始があれば、それに対応するルールを追加する必要があります。

時代の変化や自社の状況に合わせてポリシーを柔軟に見直すことで、常に実効性の高い情報セキュリティ体制を維持できます。

法人携帯にも情報セキュリティポリシーは必要

法人携帯は、業務上重要な情報を扱うため、情報漏洩や不正アクセスのリスクが高く、一般的なセキュリティポリシーだけでは不十分です。

そのため、企業は法人携帯専用の情報セキュリティポリシーを策定し、端末管理や利用ルールを明確にすることが重要です。

具体的には、端末の付与方法、パスワード設定、私的利用の制限、アプリケーション制限などを規定します。

また、MDMを活用すれば、遠隔ロックやデータ消去を統一管理でき、従業員が安全に業務端末を利用できる体制を整えることが可能です。

法人携帯の情報セキュリティポリシーに盛り込むこと

法人携帯における情報セキュリティポリシーにはどんな内容を盛り込むのがよいのでしょうか。

次項より、策定をおすすめする4項目についてご紹介していきます。

端末の付与について

法人端末を付与する場合は、端末の割り当てや回収、紛失・盗難時の連絡手順を情報セキュリティポリシーに盛り込むことで、情報漏洩リスクを最小化できます。

また、端末管理にMDMを活用することで、遠隔ロックやデータ消去などのセキュリティ対策が可能です。

これにより、企業全体で法人携帯を安全に運用でき、従業員も安心して業務に使用できます。

パスワード設定について

法人携帯の情報を守るためには、強固なパスワード設定が必須です。

情報セキュリティポリシーでは、最低文字数や複雑性、定期的な変更ルールを明記しましょう。

単純なパスワードや使い回しを防ぐことで、端末やクラウドサービスへの不正アクセスリスクを低減できます。

さらに、生体認証や二段階認証の併用も推奨されます。

適切なパスワード管理は、法人携帯だけでなく企業全体の情報セキュリティ向上に直結します。

私的利用制限について

SNSやアプリの私的利用禁止、業務外でのデータ保存制限などを明記することで、情報漏洩や業務外のトラブルを防ぐことができます。

端末の使用目的が統一され、セキュリティ管理が容易になるでしょう。

結果として、企業情報の保護と業務効率の両立が可能です。

アプリケーションの制限について

承認されたアプリのみの利用を明示し、無許可アプリのインストール禁止や自動アップデート管理を情報セキュリティポリシーへ盛り込みましょう。

法人携帯で利用可能なアプリを制限することは、マルウェア感染や情報漏洩リスクを抑える有効策です。

なお、MDMを活用すれば、端末ごとにアプリ制御を一括で運用でき、従業員の利用状況を可視化可能です。

法人携帯のセキュリティ対策ならMDMを利用しよう

法人携帯のセキュリティ対策を強化し、私的利用を防ぐためには、MDM(Mobile Device Management)の活用が非常に有効です。

MDMは、複数のスマートフォンやタブレット端末を、管理者が遠隔から一元的に管理・運用できるシステムです。

MDMを導入することで、以下のようなセキュリティ対策が可能になります。

対策内容具体例
機能制限カメラやアプリの利用、テザリングなどを管理者がリモートで制限
アプリ管理業務に必要なアプリを一括で配信し、不要なアプリのインストールを禁止
セキュリティ設定パスワードポリシーの強制、ウイルス対策ソフトの導入
紛失・盗難対策遠隔での端末ロックやデータ消去(リモートワイプ)

これらの機能により、従業員による意図しない情報漏洩や、業務外での端末利用といったリスクを大幅に低減できます。

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まとめ

情報セキュリティポリシーは、サイバー攻撃や情報漏洩といった脅威から企業の重要な情報資産を守るための羅針盤です。

明確なポリシーを策定し、組織全体で共有・実践することで、セキュリティインシデントのリスクを低減し、万が一の事態にも迅速かつ的確に対応できるようになります。

情報セキュリティポリシーの策定は、企業の社会的信頼を維持し、事業を継続していく上で不可欠な取り組みです。

本記事を参考に、自社の状況に合わせた実効性の高いポリシーを策定・運用していきましょう。

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