情報漏洩リスクとは?原因・被害からわかる企業の対策と最新動向
2025.07.29
近年では、情報漏洩事故が多く発生しています。
情報漏洩の原因や生じるリスクを理解しておくことで、万が一の場合にも適切に対処することが可能です。
当記事では、情報漏洩の基礎知識から情報漏洩リスクを無くすために行うべき対策等を解説していきます。
情報漏洩に不安がある方はぜひ参考にしてくださいね。
目次
なぜ「情報漏洩リスク」はすべての企業にとって他人事ではないのか?
情報漏洩リスクは、企業の規模や業種を問わず、あらゆる組織が直面する可能性のある重大な問題です。
特定の業界や大企業だけが標的になると思われがちですが、中小企業や個人事業主も顧客情報や取引先情報、従業員情報など、重要な情報を扱っているため、関係ないとは言い切れません。
情報処理推進機構(IPA)の調査によると「明らかに情報漏洩があった」「おそらく情報漏洩があった」と回答した企業は全体の5%以上に上ります。
情報漏洩が一部の企業で起こる特別な事象ではなく、どの企業にも起こり得る身近なリスクであることが分かるでしょう。
なお、情報漏洩の原因は、サイバー攻撃のような外部からの脅威だけでなく、従業員によるミスや不正といった内部要因も含まれます。
このように、情報漏洩は外部・内部の両面から発生する可能性があり、デジタル化が進む現代において、情報を扱うすべての企業が潜在的なリスクを抱えているのです。
規模や業種を問わず企業が直面する可能性
情報漏洩が発生すると、企業の信用失墜、損害賠償請求、刑事罰、データの悪用、なりすましなど、多岐にわたる被害が発生し、企業の存続自体を危うくする可能性があります。
これは、中小企業であっても例外ではありません。
特に、近年ではサイバー攻撃の手法が巧妙化しており、セキュリティ対策が十分でない企業は標的になりやすいです。
また、テレワークの普及により、リモートアクセスによるセキュリティの脅威も増加しているほか、従業員が自宅や外出先から社内ネットワークにアクセスする機会が増えたことで、トラブルも増加しています。
したがって、すべての企業は「うちの会社は大丈夫だろう」と過信せず、情報漏洩リスクを他人事と考えずに、適切な対策を講じる必要があります。
「情報漏洩リスク」とは?定義と企業が認識すべき範囲
企業が事業活動を通じて取得・管理する重要な情報が、意図せず外部へ漏れてしまう可能性を「情報漏洩リスク」と呼びます。
情報漏洩リスクには、単に情報が漏れるだけでなく、それによって引き起こされる様々な悪影響や損害の可能性が含まれます。
特に企業が認識すべき情報の範囲は、以下の通りです。
- 機密情報:事業運営の根幹に関わる非公開情報(開発情報、営業秘密など)
- 個人情報:特定の個人を識別できる情報(氏名、住所、連絡先、病歴など)
- 顧客情報:顧客に関する情報(法人顧客の情報も含む)
これらの情報が外部に漏れると、顧客からの信頼失墜、損害賠償請求、事業継続の危機など、企業にとって致命的な事態を招く可能性があります。
機密情報の取り扱いは「リスク」として事前に認識し、対策を講じることが不可欠です。
情報漏洩の基本的な定義と種類
情報漏洩とは、企業や組織の内部に留めておくべき情報が、何らかの原因で外部に漏れてしまうことを指します。
漏洩の対象となる情報は多岐にわたりますが、特に問題となるのは以下の情報です。
- 営業秘密:秘密として管理され、有用かつ公然と知られていない技術上または営業上の情報
- 個人情報:生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号が含まれるもの
また、情報漏洩の原因は大きく二つに分けられます。
原因 | 内容 | 例 |
---|---|---|
故意 | 第三者が意図的に情報を不正取得・持ち出しを行う | 不正アクセス、従業員による情報の持ち出し、業務委託先による漏洩 |
過失 | 情報を取り扱ううえでの不注意やミス | メール誤送信、情報記録媒体の紛失、設定ミス等 |
これらの原因により、重要な情報が意図せず、あるいは意図的に外部に流出してしまうのが情報漏洩です。
なぜ「リスク」として捉える必要があるのか
万が一情報漏洩が発生した場合、企業は以下のような重大な影響を受ける可能性があります。
- 直接的被害:業務停止、情報の紛失・改ざん、対策費用の増大
- 間接的被害:損害賠償、公的な処罰(事業免許取消など)、社会的信用の低下、売上減少
情報漏洩は、被害者である企業が意図せず加害者となり、顧客や取引先に二次被害を及ぼす可能性も秘めています。
特に、個人情報保護法などの法令遵守や、取引先からの厳しい情報管理要求に応えるためにも「リスク」として事前に予測し、対策を講じる姿勢が求められています。
【原因別】あなたの会社は大丈夫?情報漏洩リスクの主な発生源
企業における情報漏洩は、原因を理解することが対策の第一歩です。
主な発生源は大きく以下の3つのカテゴリーに分類できます。
順番に見ていきましょう。
①人間が原因:人的ミス・不正
情報漏洩の原因として非常に多いのが、不注意や意図的な不正行為です。
主な発生源として、以下が挙げられます。
- 誤表示・誤送信:メールやシステム設定のミスによる情報漏洩
- 管理ミス:PCや書類の紛失・置き忘れ、適切な破棄を怠るなど
- 内部不正:アクセス権限を持つ従業員による意図的な持ち出しや漏洩
これらの人的要因によるリスクは、確認不足やセキュリティ意識の低さから生じやすく、組織的な対策が不可欠です。
② 技術が原因:巧妙化するサイバー攻撃
情報漏洩は、技術的な問題、特に巧妙化するサイバー攻撃が主な原因です。
- 不正アクセス:外部からの侵入により情報窃取
- マルウェア感染:ランサムウェアなどでデータが暗号化される
なお、サイバー攻撃が発生する原因は、VPN設定不備や共有アカウント利用、従業員のセキュリティ意識不足が挙げられます。
対策には、
侵入後対策として、EDRも重要といえるでしょう。
③ 物理的な原因:基本的な管理の不備
情報漏洩は、システムや人的ミスだけでなく、以下のような物理的な不備からも発生します。
- 重要データを含む書類や記憶媒体の放置
- PCやUSBメモリなどの紛失・盗難
- 情報資産の不適切な廃棄
特にテレワークの普及により、社外でのPCやUSBメモリの紛失・盗難リスクが増加しています。
こうした物理的な管理の不備も、情報漏洩の発生源となるため、社員個人のセキュリティ意識を高めることが重要です。
【被害額・影響】情報漏洩が発生した場合の恐ろしい代償とは?
情報漏洩が発生した場合の被害は大きく、今後の運営にも関係します。
情報漏洩によって発生する代償は次の通りです。
順番に説明していきます。
①法的責任と賠償金
情報漏洩が生じた場合、企業に法的責任が発生し、多額の損害賠償を請求されるリスクもあるでしょう。
特に個人情報漏洩の場合、その賠償額は漏洩した情報の種類や二次被害の有無、企業の事後対応によって大きく変動します。
氏名や住所といった一般的な情報で二次被害がなければ一人あたり数千円程度ですが、センシティブな情報や二次被害があると、一人あたり数万円に上る可能性も否定できません。
漏洩人数が多いと賠償総額は膨大になり、企業の経営を圧迫する致命的な打撃となり得ます。
②企業イメージと信頼の失墜
情報漏洩事故は金銭的損失以上に、企業のブランド価値や社会的な信用に深刻な打撃を与え、イメージ低下や風評被害を引き起こします。
一度失われた信頼を取り戻すことは非常に困難です。
特に個人情報漏洩は、顧客の不安や不信感を招き、既存顧客の離脱や新規顧客の獲得が難しくなる原因につながります。
機密情報漏洩は取引先からの信頼を失い、事業機会の喪失を招くため、企業の存続や利益向上のためにもしっかりと対策を行っていきましょう。
③ブランド価値の低下、風評被害
情報漏洩は、短期的な損害賠償だけでなく、企業の根幹であるブランドイメージを損なってしまいます。
ブランド価値の低下は企業の競争力を低下させ、長期的な事業継続に深刻な打撃を与えかねません。
また、以下のような被害を被る可能性もあるでしょう。
- 顧客や取引先からの信用低下による売上減少
- SNS等での悪意のある噂や誤情報の拡散による風評被害
- 従業員の士気低下、生産性低下、人材流出
売り上げ減少や風評被害はもちろん、人材の流出によって、企業の存続が難しくなる可能性もあります。
④事業への直接的な打撃
情報漏洩は、事業継続そのものを脅かす深刻な事態を招く可能性があります。
例えば、機密情報である製品の設計図面や製造方法が漏洩した場合、競合他社に模倣され、市場での優位性を失います。
また、営業秘密の漏洩は、顧客情報の悪用や取引機会の損失に繋がりかねません。
このように、情報漏洩は単なる信用失墜に留まらず、企業の収益構造や競争力を直接的に破壊し、事業の継続自体が困難になるリスクをはらんでいます。
今日からできる!情報漏洩リスクを徹底的に減らすための対策
情報漏洩リスクを徹底的に減らすためには、万全な対策が求められます。
各対策を参考にして、情報漏洩のリスクを減らしましょう。
①組織全体で取り組むべき対策
情報セキュリティに関する方針やガイドラインを明確にし、組織全体で共有・遵守する体制を構築しましょう。
また、情報漏洩リスク低減のためには、従業員のセキュリティ意識向上も不可欠です。
定期的な研修や勉強会を通じて事例や対策方法を周知徹底し、社内のセキュリティリテラシーを強化することが重要といえます。
加えて、情報資産の適切な管理と廃棄ルールを作成し、不要な持ち出しや安易な放置・廃棄は行わないようにしましょう。
②システム・技術的な対策
システムや技術による対策は、ウイルス感染や不正アクセスといった技術的な脅威への対応を指します。
具体的な対策例は以下の通りです。
- セキュリティソフトの導入
- ファイアウォール等による不正アクセス防御
- ログ監視
- アクセス権限管理
- データの暗号化
また、OSやソフトのアップデート徹底、利用ソフト制限などの仕組み化も効果的です。
技術は日々進化するため、対策の継続的な見直しを行うようにしましょう。
③物理的な対策
パソコンだけでなく、紙媒体や記憶媒体からの漏洩を防ぐための対策も欠かせません。
主な対策には、以下のようなものがあります。
- 入退室管理(認証システム、社員IDなど)
- 機器・媒体の厳重な保管(ワイヤーロック、鍵付きキャビネット)
- 監視カメラの設置
これらの物理的な対策を講じることで、情報資産への不正なアクセスや持ち出しを防ぎ、情報漏洩リスクを低減できます。
【最新動向】情報漏洩リスクを取り巻く現状と今後の展望
情報漏洩リスクを減らすには、新たな技術の登場やサイバー攻撃の手法の巧妙化、法制度の見直しなど、企業は常に最新の動向を把握し、適切な対策を講じる必要があります。
ここでは、近年の主な傾向や将来的な展望について解説します。
①最近の注目すべき情報漏洩事例とその特徴
近年、特定の企業を狙う「標的型攻撃」や、データを暗号化し事業継続を妨害する「ランサムウェア」による被害が目立ちます。
また、悪意のある「内部不正」や、メール誤送信・端末紛失といった「人的ミス」による情報漏洩も依然として多発しているほか、元従業員による顧客情報持ち出し事例も報告されています。
技術対策に加え、従業員教育や管理体制強化を強化することが重要といえるでしょう。
② 法改正やガイドラインの動向
情報漏洩リスク対策は、法改正やガイドラインの動向を把握することが不可欠です。
日本の個人情報保護法は、個人の権利保護とデータ利活用の両立を目指し、施行状況に基づいて3年ごとの見直しが進められています。
直近では、2020年、2021年に改正が行われ、現在も3回目の見直しに向けて法改正が進められています。
特に短期的な検討課題として挙げられているのが下記の点です。
- 同意規制の見直し(統計作成等における同意不要の場面拡大など)
- 漏洩等発生時の対応の柔軟化(影響が小さい場合の本人通知義務軽減など)
- 委託先の義務明確化など、実効性あるデータ保護の在り方
これらの動向は、企業の情報管理体制に直接影響を与えるため、常にチェックしておきましょう。
③ AI、IoT、クラウド利用における新たなリスク
AI、IoT、クラウドといった新技術の活用は進んでいますが、これに伴い新たな情報漏洩リスクも発生しています。
特に生成AIでは、機密情報の誤入力による外部漏洩、プロンプトインジェクションによる情報改ざん、サービス障害による業務停止が課題です。
また、IoTデバイスやクラウドサービスも、設定ミスや脆弱性がリスクとなり得ます。
利便性と安全性のバランスを取りながら、包括的なセキュリティ対策を進めましょう。
セキュリティ強化には法人携帯やMDMの導入がおすすめ
情報漏洩リスクへの対策として、法人携帯やMDM(モバイルデバイス管理)の導入が有効です。
法人携帯を導入することで、業務で使用するデバイスを一元管理し、紛失・盗難時のデータ漏洩リスクを減らせます。
さらにMDMを導入すると、以下のような機能で端末のセキュリティを強化することが可能です。
- 画面ロック・パスワード設定の徹底
- OSやアプリの遠隔アップデート
- 不要なアプリのダウンロード制限
- 紛失・盗難時の遠隔ロック・データ消去
これらの機能により、社員の不正利用や外部からの攻撃リスクを軽減し、高いセキュリティレベルを維持できます。
法人携帯の導入なら、法人携帯ファーストへお問い合わせください

情報漏洩リスク対策において、法人携帯の導入は非常に有効な手段です。
個人の携帯を業務で使用すると、端末ごとのセキュリティ対策が難しく、情報漏洩のリスクが高まります。
一方、法人携帯であれば、セキュリティ対策を施しつつ、端末を一元管理できます。
さらに、社員のプライバシーを守りながら、業務とプライベートの線引きを明確にすることが可能です。
お客様の状況に合わせた最適なプランのご提案はもちろん、MDMの設定も行うことが可能なため、法人携帯の導入をご検討されている企業様は、ぜひ法人携帯ファーストにご相談ください。
まとめ
情報漏洩は、企業規模や業種を問わず発生しうる重大なリスクです。
原因は人的ミス、サイバー攻撃、物理的不備など様々ですが、一度発生すると、以下のような深刻な結果を招きます。
これらのリスクを軽減するには、組織的なルール作り、技術的なシステム対策、物理的な管理徹底など、包括的な対策が欠かせません。
企業存続のためには、常に最新の脅威動向を把握し、法人携帯やMDMの導入によるセキュリティ対策を継続的に強化することを意識しましょう。
法人携帯ファーストでは、法人携帯プランのご提案やMDMの設定も行っていますので、ぜひご相談ください。