BYOD導入前に必読!管理者が知るべきリスクとセキュリティ強化の対策方法を解説
2025.08.29
業務の効率化やテレワーク推進の一環として、個人所有の端末を業務に活用する「BYOD(Bring Your Own Device)」の導入が進んでいます。
BYODの導入は、端末コストの削減や従業員の業務効率向上といった多くのメリットが期待できる点が魅力です。
一方で、情報漏洩や端末管理の複雑化といったセキュリティリスクが存在し、企業にとっては慎重な判断と事前の対策が不可欠です。
この記事では、BYOD導入に伴う代表的なリスクと、それらを未然に防ぐために管理者が取るべきセキュリティ強化策を分かりやすく解説します。
導入時のコストとや代替案として注目される法人携帯の活用についてもご紹介するため、BYODの導入を検討中の方や、セキュリティ体制を見直したい管理者の方は、ぜひご覧ください。
目次
BYOD(Bring Your Own Device)とは何か?
BYOD(Bring Your Own Device)とは、従業員が個人で所有するスマートフォンやノートパソコンなどの端末を業務に利用する働き方です。
テレワークの普及や働き方の柔軟化により、多くの企業で導入が進んでいます。
BYODは、企業にとっては端末コストの削減、従業員にとっては使い慣れた端末で業務効率を高められるというメリットがあります。
一方で、情報漏洩やマルウェア感染などのセキュリティリスクへの対策が重要です。
類似の概念にCYOD(Choose Your Own Device)があります。
これは企業があらかじめ選定した端末の中から従業員が選んで使用する方式で、端末は企業管理下に置かれるのが一般的です。
BYODに比べてセキュリティ対策や端末管理がしやすく、企業のポリシーに沿った運用が可能になります。
BYOD導入における潜在的リスク3つ
BYOD導入は業務効率を高める一方で、情報漏洩や管理の難しさなど、見逃せないリスクも伴います。
以下では主な3つの注意点を解説します。
(1) 情報漏洩のリスク
BYODでは、個人端末を業務に使うため、企業側が十分に端末の管理ができないことから、情報漏洩リスクが高いです。
たとえば、端末のパスコードが設定されていない・セキュリティソフトが未導入といった状態から、業務データが外部に流出する可能性もあります。
また、端末紛失や盗難、家族との端末共有や私用クラウドへのファイル保存、送信ミスによる意図しない共有など、情報漏洩リスクとなる原因は数えきれないでしょう。
(2) デバイス管理上のリスク
デバイス管理のために業務用管理ツールを導入することで、従業員とのトラブルが生じるリスクが考えられます。
業務管理ツールでは、従業員の私的利用や位置情報の監視が可能なため、プライバシーの侵害を心配する声が生じるでしょう。
さらに、企業が把握していない端末やアプリが業務に使われる「シャドーIT」が増えることで、適切な管理やセキュリティ対策が難しくなるケースも少なくありません。
(3) 運用上のリスク
運営上のリスクとして考えられるのが、セキュリティーポリシーの遵守徹底の難しさとセキュリティ意識の統一の難しさです。
従業員ごとにセキュリティに対する意識や知識に差があるため、同じルールでも守られ方にばらつきが生じやすいです。
その結果、パスワードの使い回しやアップデートの遅れなど、セキュリティ上の甘さが発生し、組織全体のリスクが高まる恐れがあります。
そのため、運用段階でも定期的な教育やルールの見直しを行い、全員が高いセキュリティ意識を持ち続けられる体制を整えることが重要です。
BYOD導入が企業と従業員へもたらすメリット
業務の効率化と生産性の向上は、どの企業にとっても重要な課題です。
BYODを導入することで、従業員が普段から使い慣れたデバイスを業務に活用できるため、日常業務における無駄やミスを削減し、よりスムーズな作業遂行が可能になります。
以下では、企業側・従業員側それぞれの視点から、BYODがもたらすメリットについてご紹介します。
企業側のメリット
BYODを導入することで、多くのメリットは次の通りです。
メリット | 内容 |
---|---|
端末購入や保守にかかるコスト削減 | 費用を大幅に抑えられる |
従業員のエンゲージメント向上 | 使い慣れた端末でストレスなく作業できる |
業務効率および生産性の向上 | ツール等を自由に設定できるので柔軟に対応できる |
テレワーク・リモートワーク環境への適応促進 | 場所を問わず自分の端末で業務が出来る |
企業は端末の購入や保守にかかるコストを大幅に削減できるため、大きな経済的なメリットとなるでしょう。
また、使い慣れた端末を使用することで、従業員の教育や研修トレーニングなどの必要がありません。
そのため、端末費用のほか、従業員の育成コストや時間の削減にも繋がるのです。
従業員側のメリット
従業員側のメリットは次の通りです。
メリット | 内容 |
---|---|
使い慣れたデバイスでの業務遂行 | 慣れている端末で業務が機出る |
個人の生産性向上 | 無駄な手間や時間を省け、生産性の向上 |
使い慣れたスマートフォンやパソコンを業務で活用することにより、無駄な手間や時間を省けるため、生産性の向上につなげる事ができます。
膨大な業務量の中、新しい端末の操作方法やマニュアルの確認を行うことは大きな足かせになってしまう場合もあります。
しかし、BYODの導入を行うことで、デバイスの管理や操作を簡単にすることが可能です。
BYOD導入前に管理者が取るべきセキュリティ強化策
BYOD導入にはセキュリティ対策が不可欠です。企業の管理者が取るべき基本的な対策と、その具体例をわかりやすく3つ紹介します。
(1) 強固な運用ポリシー・ルールの策定と周知
従業員による不適切な利用や情報漏洩のリスクを最小限に抑えるためには、技術的な対策だけでなく、明確な運用ルールを策定することが重要です。
法人携帯の運用ルールに含めておきたい主な項目を整理しました。
項目 | 内容と目的 |
---|---|
利用可能なデバイス・OSの定義 | 対応可能な端末やOSをあらかじめ明確にすることで、セキュリティリスクの高い環境での利用を防止 |
禁止事項・遵守事項の明確化 | 無許可アプリの使用禁止、パスワード管理のルールなどを定め、従業員の誤った操作によるトラブルを防ぐ |
紛失・盗難時の報告体制の整備 | 万が一の際に迅速な対応ができるよう、報告フローや連絡体制を明確にすることができる |
業務利用と個人利用の分離方法の策定 | 業務用データの保護と従業員のプライバシー確保の両立を図るため、利用範囲を明示する |
従業員への教育・啓発の実施 | 定期的な研修や情報提供により、従業員のセキュリティ意識を継続的に高めることができる |
これらの項目を明文化し、組織内で確実に共有・徹底することが、BYOD運用における第一歩です。
企業としての方針を明確にし、従業員一人ひとりがルールを理解・実践できる環境を整えることで、セキュリティリスクを大幅に軽減することができます。
(2) セキュリティ対策ツールの導入・活用
BYODを安全に運用するためには、人的なルール整備だけでは不十分です。
万が一の情報漏洩やサイバー攻撃に備えるためには、以下のような専用のセキュリティ対策ツールを導入し、活用することが欠かせません。
ツール名 | 機能・特徴 | 活用のメリット |
---|---|---|
MDM(Mobile Device Managemen) | 端末ごとに使用状況や状態を把握し、遠隔ロック・データ削除・アプリ配布・利用制限などを行う仕組み | 紛失時の情報漏洩防止、業務アプリの一括配信、不要アプリの制限により、安全な端末管理を実現 |
MAM(MobileApplicationManagement) | 業務用アプリと個人アプリのデータを分離して管理 | 業務データの漏洩防止、従業員のプライバシー尊重、アプリ単位での制御が可能 |
EDR(EndpointDetectionandResponse) | 不審な挙動やサイバー攻撃の兆候を検知・分析・対応する仕組み | 端末上の異常をリアルタイムに検出し、攻撃被害の最小化につながる |
これらのツールを適切に活用することで、企業は「守りながら業務を進める」ための強固な基盤を築くことができます。
特に情報漏洩対策やインシデント対応の迅速化を求める企業にとっては、導入が急務とも言えるでしょう。
今後のセキュリティ対策を見直す際には、MDM・MAM・EDRの導入をセットで検討することが、より実効性の高い管理体制につながります。
サイバー攻撃は目に見えないからこそ怖いけど、EDRを導入すれば不審な挙動を即座に検知できて安心ですね。
【関連記事】
MDMとMAMの違いをわかりやすく解説!MCM・EMMとの違いや機能、導入メリット、注意点も紹介
(3) 従業員のセキュリティ意識向上施策
従業員のセキュリティ意識を高めるために、定期的なセキュリティ研修を実施し、最新の脅威情報を継続的に伝えることが重要です。
また、社内のセキュリティポリシーやルールをまとめたドキュメントに誰でも簡単にアクセスできる環境を整えることで、社員一人ひとりが適切な対策を理解し、遵守しやすくなります。
セキュリティ意識って、人によって差があるからこそ、全員に向けた定期的な教育やルールの周知が欠かせません。
BYOD導入におけるコストとセキュリティのバランス
BYODを導入する際には、コストとセキュリティのバランスを慎重に考えることが欠かせません。
導入費用や運用コストだけでなく、情報漏洩などのリスクも踏まえたうえで、最適な対策を選択する必要があります。
(1) 費用対効果の検討
BYODを導入する際は、管理にかかるコストと、それによって得られる効果をしっかり比較検討することが大切です。
セキュリティ対策にかかる費用が高くなりすぎると、全体のコストパフォーマンスが悪くなる可能性があります。
逆に、コストを抑えすぎるとリスクが増えるため、最適なバランスを見極めることが重要です。
(2) リスク許容度の判断
BYOD導入では、どの程度のリスクを受け入れられるか(リスク許容度)を企業が判断することが重要です。
個人情報の取り扱いや機密情報の多い部署では特に情報漏洩リスクになる損害は大きく、より厳格なセキュリティが必要になります。
自社の業務内容や情報の重要度を踏まえ、許容できるリスクの範囲を明確にして対策を決めましょう。
BYODによるリスクを避けるには法人携帯の導入がおすすめです
BYODは便利な働き方ですが、情報漏洩や端末管理のリスクが大きいのが現実です。
だからこそ、端末やセキュリティ管理を一元化できる法人携帯の導入がおすすめです。
当社の法人携帯ファーストなら、専門の担当者が企業ごとのニーズに合わせた最適なセキュリティ対策導入から運用までしっかりサポートいたします。
安全・安心の働き方を実現したいなら、ぜひ法人携帯ファーストにお問い合わせください。
まとめ
BYODは、コスト削減や業務効率向上といったメリットがある一方で、情報漏洩・端末管理・セキュリティポリシーの徹底といった多くの課題・リスクも伴います。
これらのリスクを最小限に抑えるためには、強固な運用ポリシーの策定、適切なセキュリティツールの導入、そして従業員の意識向上が不可欠です。
しかし、そもそも端末やセキュリティの一元管理が難しいBYODの導入に不安がある場合は、法人携帯の導入が最も現実的で安全な選択肢といえるでしょう。
特に、法人携帯ファーストなら、専門スタッフが導入から運用まで企業に寄り添い、最適なセキュリティ対策をトータルでご提案可能です。
情報漏洩リスクを未然に防ぎ、安全な業務環境を実現するために、ぜひ法人携帯ファーストの導入をご検討ください。