【わかりやすく解説】個人事業主はスマホや携帯代を減価償却・経費計上できる!仕訳例や計算方法まで紹介
2025.06.30
個人事業主として活動していると、スマホの本体代や通信費を経費として計上できるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
スマホは事業に欠かせないツールですが、10万円以上の端末を購入した場合には「減価償却」が必要になるなど、正しい知識がないと処理を誤ってしまうリスクもあります。
また、プライベートと兼用しているスマホは「家事按分」による対応が必要です。
本記事では、個人事業主がスマホ代や通信料を経費に計上する際のポイントや、減価償却の方法、仕訳例まで詳しく解説します。
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目次
個人事業主のスマホ代・携帯電話代は経費にできる
個人事業主が事業で使用しているスマホや携帯電話の費用は、条件を満たせば経費として計上できます。
たとえば、顧客との連絡や業務用アプリの利用、取引先とのメール対応など、明らかに事業に関係している使用であれば、スマホ本体の代金や通信料も経費扱いが可能です。
ただし、プライベート利用と兼ねている場合には、その全額を経費にすることはできません。
次項にて詳しく解説しますが「家事按分(かじあんぶん)」によって、事業で使用している割合を見積もり、合理的に按分して処理する必要があります。
スマホの費用を正しく経費にするためには、用途の明確化と適切な記録が不可欠です。
プライベートと兼用のスマホ料金を経費計上するなら「家事按分」が必要
スマホを事業だけでなくプライベートでも使用している場合、その費用を全額経費に計上することはできません。
このようなケースでは「家事按分(かじあんぶん)」が必要になります。
家事按分とは、事業用と私用が混在する支出を、利用実態に応じて合理的に按分(分ける)し、事業に関連する部分だけを経費とする考え方です。
たとえば、スマホの利用時間や用途から「おおよそ6割が事業用」と判断できる場合、その6割分のみを経費として計上します。
按分比率は税務署から明確な基準が示されているわけではありませんが、根拠を説明できるようメモや記録を残しておくと安心です。
スマホの端末代が10万円以上の場合は減価償却が必要
スマホ本体の購入費が1台あたり10万円以上になる場合、個人事業主はその金額を一度にまとめて経費として処理することはできません。
このようなケースでは「減価償却」によって、スマホの価値を数年に分けて計上する必要があります。
減価償却とは、高額な資産の購入費を耐用年数に応じて毎年少しずつ経費化する会計処理です。
たとえば12万円のスマホを購入した場合、耐用年数が4年であれば、毎年3万円ずつ経費に計上していく形となります。
正しい処理をするためには、購入金額と利用年数の把握が重要です。
また、分割払いで購入した場合でも、支払方法にかかわらず総額で判断されるため、10万円以上であれば減価償却の対象となります。
スマホの耐用年数に応じて減価償却をする
減価償却を行う際には、スマホの「耐用年数」に基づいて費用を按分する必要があります。
国税庁が定める耐用年数表によると、スマートフォンは明確に示されていません。
そのため、スマホの使い方によって判断します。
メールやアプリなどがメイン利用であれば「パソコン」に該当すると考えられます。
パソコンの耐用年数は「4年」に設定されているため、10万円以上のスマホを購入した場合は、購入した年から4年間にわたって費用を分割して経費計上しましょう。
たとえば、120,000円のスマホであれば、毎年30,000円ずつの減価償却が可能です。
また、電話メインとして取り扱っている場合は「電話設備その他の通信機器」に該当すると考えられます。
電話設備その他の通信機器の耐用年数は「10年」のため、減価償却を10年間かけて行う必要があるのです。
また、プライベートとの兼用であれば、減価償却額にも家事按分を適用することを忘れないようにしましょう。
耐用年数は原則として変更できないため、最初にしっかりと確認しておくことが大切です。
参考:国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表
青色申告の場合は「少額減価償却資産の特例」を利用できる場合も
個人事業主が青色申告をしている場合、スマホの購入金額が10万円以上でも「少額減価償却資産の特例」を使えば、一括で経費にできる可能性があります。
この特例は、中小企業者や個人事業主が30万円未満の資産を取得した際、その全額を取得年度の経費(損金)として計上できる制度です。
ただし、この特例を使うには「青色申告承認申請書」を提出していることや「所得税の確定申告書に明細を添付すること」など、いくつかの要件があります。
また、年間でこの特例を使える総額の上限は300万円です。
10万~30万円未満のスマホを購入した場合は、この特例が利用できれば減価償却せずに一括で経費処理できるため、節税や会計処理の簡略化につながります。
詳しい仕訳方法は記事内の「少額減価償却資産の特例を活用する場合の仕訳例」で解説しているため、合わせてチェックしてくださいね。
参考:国税庁 No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
「10万円以上」のスマホ端末を購入した際の経費計上(減価償却)方法
スマホ本体の購入金額が10万円以上の場合は、原則として減価償却によって、数年に分けて経費計上します。
勘定科目は「工具器具備品」とし、耐用年数に応じた金額を毎年「減価償却費」として仕訳しましょう。
なお、事業専用かプライベート兼用かによって、按分処理や仕訳内容が異なるため注意が必要です。
ここからは、ケース別の仕訳例を詳しく解説していきます。
法人契約(事業専用)の場合の仕訳例
スマホを法人契約で導入し、完全に事業専用として使用している場合は、全額を経費として計上できます。
10万円以上の端末であれば、減価償却が必要です。
たとえば、税込132,000円(税抜120,000円)のスマホを購入した場合、以下のように仕訳します。
取得時の仕訳(購入時)
借方:工具器具備品 120,000円
仮払消費税 12,000円
貸方:普通預金 132,000円
減価償却費の計上(4年の場合、年間)
借方:減価償却費 30,000円
貸方:減価償却累計額 30,000円
このように、取得時と毎年の償却処理の両方が必要になります。
個人契約(プライベート兼用)の場合の仕訳例
スマホを個人契約で利用し、事業とプライベートを兼用している場合は、家事按分によって事業使用分だけを経費として計上します。
たとえば、購入額が税込110,000円(税抜100,000円)、事業利用割合が60%とした場合の仕訳は以下の通りです。
取得時の仕訳(事業用60%で計算)
借方:工具器具備品 60,000円
仮払消費税 6,000円
貸方:普通預金 66,000円
減価償却費の計上(耐用年数4年)
借方:減価償却費 15,000円
貸方:減価償却累計額 15,000円
事業使用割合の根拠(使用時間、通話明細など)を記録しておくことも重要になります。
なぜなら、税務調査では経費の妥当性を問われることがあり、記録があることで明確に説明することができるからです。
一括償却資産として処理する場合の仕訳例
スマホの購入金額が10万円以上20万円未満(税抜)の場合、青色申告者であれば「一括償却資産」として3年間に均等償却する方法が選べます。
たとえば、税抜18万円のスマホを事業用に購入した場合の処理は以下の通りです。
取得時の仕訳
借方:工具器具備品 180,000円
貸方:普通預金 180,000円
毎年の減価償却費(3年間均等)
借方:減価償却費 60,000円
貸方:減価償却累計額 60,000円
この方法では、使用や廃棄にかかわらず3年間で均等に経費化されるため、処理がシンプルで手間も軽減されます。
少額減価償却資産の特例を活用する場合の仕訳例
青色申告の個人事業主が30万円未満(税抜)のスマホを購入した場合「少額減価償却資産の特例」を利用すれば、減価償却をせずに全額をその年の経費として一括計上することができます。
たとえば、税抜価格28万円のスマホを事業用として購入した場合、次のように仕訳します。
取得時の仕訳(全額経費処理)
借方:消耗品費 280,000円
貸方:普通預金 280,000円
※勘定科目は「消耗品費」「雑費」「工具器具備品」などでもOKですが、会計ソフトに合わせて統一しましょう。
なお、この特例は年間300万円までの資産取得に適用可能です。
確定申告時には、明細の添付も忘れずに行いましょう。
「10万円未満」のスマホや携帯電話を購入した際の経費計上の方法
スマホ本体の購入金額が10万円未満(税抜)であれば、減価償却の対象とはならず、購入した年度に全額を経費(損金)として一括計上できます。
勘定科目としては「消耗品費」や「通信費」「雑費」などが一般的です。
事業専用か兼用かにより家事按分の必要有無が変わるため、用途を明確にした上で適切に処理しましょう。
ここからは、用途別に仕訳例を詳しく解説していきます。
法人契約(事業専用)の場合の仕訳例
スマホの本体価格が10万円未満(税抜)で、法人契約により事業専用として使用している場合、その費用は全額を当年度の経費として一括で計上できます。
たとえば、税抜価格88,000円、消費税8,800円、合計96,800円のスマホを購入した場合の仕訳は次の通りです。
仕訳例(取得時)
借方:消耗品費 88,000円
仮払消費税 8,800円
貸方:普通預金 96,800円
このように、減価償却の必要はなく、仕訳もシンプルです。
法人契約であれば私用との区別も明確になり、税務上の説明も容易になります。
個人契約(プライベート兼用)の場合の仕訳例
10万円未満のスマホを個人契約で購入し、事業とプライベートの両方で使用している場合は、家事按分により事業利用分のみを経費として計上します。
たとえば、購入額が税込96,800円(税抜88,000円)、事業利用割合を50%とした場合、以下のような仕訳になります。
仕訳例(取得時・50%按分)
借方:消耗品費 44,000円
仮払消費税 4,400円
貸方:普通預金 48,400円
按分割合は使用状況に基づいて合理的に設定し、根拠となる記録を残しておくと、税務調査の際にも安心です。
スマホの通信料の経費計上の方法
スマホの通信料(月々の携帯料金)は、個人事業主でも必要経費として計上可能です。
事業専用のスマホであれば、通話料やデータ通信料をすべて経費として処理できます。
勘定科目は「通信費」を使うのが一般的です。
たとえば、月額使用料が11,000円(税込)の場合、次のように仕訳します。
借方:通信費 10,000円
仮払消費税 1,000円
貸方:普通預金 11,000円
一方、プライベートとの兼用スマホであれば「家事按分」が必要です。
たとえば、業務利用が全体の70%と見積もられるなら、通信費の70%のみを経費にできます。
家事按分の割合は利用状況(使用時間・用途・通話履歴など)に基づき、税務署に説明できる形で記録を残しておくことが大切です。
個人事業主がスマホの端末代・通信費を経費計上するための3つのポイント
スマホ代や通信費を正しく経費として計上するには、単に領収書を保管するだけでは不十分です。
税務署に説明できるよう、利用用途の明確化・証憑(しょうひょう)の整備・契約形態の見直しが重要になります。
ここでは、経費処理でミスしやすいポイントを3つに絞り、それぞれ具体的に解説します。
①スマホの利用用途を明確にする
スマホ代や通信料を経費とするためには「事業でどのように使っているのか」を明確にしましょう。
なぜなら、税務調査では、経費の妥当性が問われることがあるからです。
「事業用である証拠」を記録として残しておくことで、税務調査の際にも慌てずに対応することができます。
たとえば、顧客との連絡、業務アプリの使用、取引先とのメールや通話など、事業に直結する利用実態があれば、それをメモや利用履歴で記録しておくと信頼性が高まります。
プライベートとの兼用の場合には、1日や1週間単位での使用割合をざっくりでも把握し、「〇%が事業用」と根拠を持って説明できるようにしておきましょう。
②領収書が発行されない場合は出金伝票を使う
スマホの通信料や端末代の支払いでは、領収書が発行されないケースもあります。
たとえば、クレジットカード払いや口座振替などでは、紙の領収書が手元に残らないため、証拠書類が不足しがちです。
このような場合は「出金伝票」や「支払明細」を活用して、支払った事実とその内容を記録しましょう。
通信会社のマイページや請求書画面を、PDFで保存するのも有効です。
税務上は、金額・支払日・支払先・用途が確認できれば経費として認められる可能性が高まります。
記録が曖昧なままだと否認されるリスクもあるため、証憑(しょうひょう)類の整備は経費処理の基本と言えるでしょう。
③法人契約も検討してみる
スマホを事業専用で使う機会が多い個人事業主の方は、法人契約(ビジネス用携帯)の導入も検討してみましょう。
法人契約にすると、契約名義が事業主または屋号となり、私用との区別が明確になるため、経費処理や家事按分の必要がなくなるメリットがあります。
また、法人専用のプランは、データ容量や通話料がお得になるケースも多く、コスト面でも有利です。
さらに、会計処理においても「事業用途が明らか」であるため、税務調査での指摘リスクも軽減できます。
スマホの使用頻度が高い業種や、複数台の管理が必要な方には、会計効率と節税の両面で法人契約が有効な選択肢となります。
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コスト削減や経費処理の明確化を目指すなら、一度相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
個人事業主にとって、スマホの端末代や通信料は業務に欠かせない重要な経費の一つです。
10万円未満のスマホであれば全額を即時経費として処理でき、10万円以上の場合でも減価償却や特例を活用することで、適切な会計処理が行えます。
ただし、プライベートとの兼用時は家事按分が必要となり、領収書が出ない支払いについては出金伝票などで記録を残す工夫が求められます。
経費処理をより明確に、効率的にしたい場合は、法人契約の導入も視野に入れるとよいでしょう。
正しいルールを理解し、日々の記録を丁寧に行うことが、節税やトラブル回避につながります。
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